年のはじめに欠かせない、お雑煮。
地域ごとに様々な違いがありながら、なぜか「お雑煮」というひとつの名前で呼ばれ続けた、ふしぎな食べ物です。
500年以上の歴史があるだけではなく、現在も各家庭で食べ継がれています。茅乃舎では、各地域・各ご家庭によって異なるお雑煮の特徴に光を当てていきたいと思います。
和食を象徴する、お雑煮のすばらしさを茅乃舎は「奇跡」と呼びたいと思います。お雑煮の世界を一緒に旅してみましょう。
2025年のテーマ
意外と知らない、よそのお雑煮。お餅の形だけでも角餅・丸餅と地域によって違いがあるほか、すまし汁、味噌仕立てと大きな違いがあります。
今年は、地域ごとの違いを感じていただける期間限定の「お雑煮たべくらべ会」を開催、そしてみなさんのご家庭のお雑煮を徹底的に調査する「全国お雑煮大調査」など参加型の企画をご用意しています。一緒に「お雑煮という奇跡」を楽しみましょう。
東京ミッドタウン『茅乃舎 だしおでん』を会場に、5ヶ所の地域差の特徴が分かるお雑煮をお召し上がりいただけます。ぜひご来店くださいませ。
実施店舗
茅乃舎 だしおでん 東京ミッドタウン店
実施期間・時間
4日間限定、各日6回
2024年11月21日(木)〜24日(日)
[ 第1回 ] 11:00~12:00
[ 第2回 ] 12:30~13:30
[ 第3回 ] 14:00~15:00
[ 第4回 ] 16:00~17:00
[ 第5回 ] 17:30~18:30
[ 第6回 ] 19:00~20:00
※時間は状況により変更になる場合がございます。
※11月20日(水)~24日(日)は『茅乃舎 だしおでん』の通常営業は休止させていただきます。
メニュー
「5地域のお雑煮」たべくらべセット
期間限定販売
2,200円(税込) ハーフサイズ×5種
日本各地の食文化に根付いた豊かな味を体験できる5種のお雑煮セット。青森「けの汁」雑煮・能登雑煮・江戸雑煮・京風雑煮・博多雑煮に、茅乃舎風のアレンジも加えています。
予約について
要事前予約※一部当日席あり
1
青森「けの汁」雑煮
椎茸・焼きあご/赤味噌/
根菜・山菜
『日本歳時記』に登場する古代雑煮に似ているのが青森の「けの汁」。根菜を細かく切り、ぜんまいなどの山菜やゴボウ、大豆など山の恵がたっぷり。津軽味噌で仕立てた、体が温まる滋味豊かなお雑煮です。
2
能登雑煮
焼きあご・昆布/醤油/
岩海苔
東西お雑煮のちょうど境界にあるのが石川県。地域によって様々ですが、能登半島には「あごだし」を使った岩海苔のお雑煮があります。磯の風味があふれた清々しいお雑煮に、香り立つ柚子を添えました。
3
江戸雑煮
鰹節・昆布・鶏/醤油/
鶏肉・車海老
関東風雑煮とも呼ばれ、広い地域で似たものが食べられています。小松菜、鶏の組み合わせで「なとり=名取り」で名を上げる、「ミソをつける」を嫌っての醤油仕立てと、武家らしい縁起担ぎの組み合わせ。車海老やかまぼこを使い、彩りよく盛り合わせるところに、江戸の粋を感じます。今回は、うまみある鶏つくねを加えました。
4
京風雑煮
昆布/白味噌
京都や奈良をはじめ、関西では白味噌仕立ての優しい味わいのお雑煮が食べられています。家族円満を表す丸餅だけのシンプルな佇まいは、神々しささえ感じます。極薄く削った鮪節の香りが、甘みをより引き立てます。
5
博多雑煮
焼きあご/醤油/
鰤・かつお菜
福岡では正月が近づくと「あご」が店先に並びます。そのあごだしに、出世魚の鰤、かつお菜が揃うとまさに博多雑煮のできあがり。能登と博多、離れた地域で同じ「あご」が使われるのが興味深いところです。
インスタグラムをはじめ各所で人気のぐっち夫婦。おうちのお雑煮について聞いてみました。
-お二人それぞれ、これまでどんなお雑煮を食べてきましたか?
Tatsuyaさん父方が川崎出身、母方が博多出身で、私が子供の頃にそれぞれの家で出てくるお雑煮が違ったんですね。川崎は鶏ベースのけんちん汁タイプ。博多は、あごだしに鰤が入っているお雑煮。実は子どものときはちょっと鰤が苦手だったんですよ。ばあちゃんに、「なんで鰤なの?」って聞いたら、「博多のお雑煮は鰤なんだよ」って言われて。子ども心に、ソウルフード的なところがあるんだろうなと感じました。でも食べているうちに好きになって、今はどちらも馴染みがある。東と西という、離れた文化の違いも感じられたのは、今となっては貴重な体験をしたのかなって思います。
SHINOさん父が東京で、母が東北の秋田の出身です。東京のおばあちゃん、おじいちゃんが八百屋さんで、季節の食材が常に食卓に並ぶような暮らしでした。そこで一緒におせちやお雑煮を作っていたんです。お雑煮は、椎茸の戻し汁に、鶏もも肉とゆでた大根、小松菜、なると、醤油と味醂ベースに角餅を入れて仕立てていましたね。印象的だったのは、お正月には必ず、商店街の和菓子屋さんが作った大きなのし餅を1枚丸ごと買ってくること。それを家で切り分けて、みんなで「何個にする?」って会話をしながら、好きな数だけ焼いて食べていたことですね。
-お二人が結婚された後は、どんなお雑煮を作っていますか?
Tatsuyaさん今は鶏ベース、関東風が多いかなあ。SHINOさんの実家でいただくことが多くて。やはりお雑煮は、一緒に食べる家族やその出身地に引っ張られるものなのかなって思うんですよね。なので、今はSHINOさんの実家のお雑煮がお馴染みの味になりつつあります。
-お雑煮をアレンジすることはありますか?
Tatsuyaさんあんまりお雑煮をアレンジしようとは思わないかな。・・・お雑煮は味を触っちゃいけない気がします。正座して向き合わなきゃというかね。縁起物であり、節目の食べ物でもある。同じ和食でも、肉じゃがやお味噌汁ではそうはならないんですよね。お雑煮は特別で、新年のスイッチの切り替わる時期の食事のひとつと言いますか、今年も新たに頑張ろうという儀式に近いのかも。
SHINOさんたとえば豚汁だったら、欲張って具材をたくさん入れたいなって思うんですけど、お雑煮はやっぱり丁寧に、お出汁のおいしさも大切にしたい。昔は作ってもらう側だったけれど、今は作る側に回って、おいしく上品に仕上げたいって思いも乗っていく。おばあちゃんからもらったあったかい気持ちを、今度は私からみんなに届けられたら嬉しいです。
-これからどんなお雑煮を作っていきたいですか?
Tatsuyaさん昨年子供が産まれて、今は幼児食を食べられるようになりました。家族で過ごすお正月は2回目なのですが、昨年はまだミルクだったので、息子にとっては初めてのお雑煮です。僕らの作る味が、息子にとっては大事なお雑煮になるわけですよね。丁寧に作ってあげたいですし、今年は特別なお正月になるのかなと思っています。
SHINOさんそうだね、今までどおり丁寧に仕上げながら、家族や大切な方々と食べながら、「これ食べて1年頑張ろう!」とみんなでワイワイ会話しながら楽しむ、そんな時間も大切にしていきたいなと思います。
プロフィール
夫Tatsuya、妻SHINOの夫婦で料理家として活動。「日々の暮らしを楽しく美味しく。ちょっとおしゃれに」をモットーに、ライフスタイルに寄り添うレシピを考案し発信している。書籍出版の他、雑誌やテレビ出演、メディア連載の他、イベントにも多数出演する。YouTubeチャンネル「YouTubeふたりごはん【料理家ぐっち夫婦の料理チャンネル】」などSNSの総フォロワー数は100万人以上。また、2023年に第一子が産まれ、離乳食&幼児食レシピを掲載する「はらぺこベビー」を運営している。
ぐっち夫婦のお雑煮
お二人が最近作るお雑煮
合わせだし/角餅・焼く/鶏もも肉、大根、小松菜、ゆず皮
Tatsuyaさんのご実家(博多)のお雑煮
あごだし/丸餅・煮る/ブリ、大根、小松菜、ゆず皮
Tasuyaさんのご実家(関東)のお雑煮
かつおだし/角餅・焼く/鶏もも肉、大根、にんじん、里芋、小松菜、ゆず皮
SHINOさんのご実家(関東)のお雑煮
椎茸とかつおだしの合わせだし/角餅・焼く/茹でた大根、里芋、小松菜、薄切りにしたなると、削ったゆず皮、鶏もも肉